京都の老舗・元祖あぶり餅【一文字屋和輔(いちもんじやわすけ)】

京都のお菓子といえば?多くの人が八つ橋や宇治抹茶を使った抹茶スイーツを思い浮かべるのではないかと思います。

今回、ご紹介させていただくのは【あぶり餅】というお餅のお菓子です。

聞いたことありますか?

あぶり餅は、前回ご紹介させていただいた京都市北区紫野の今宮神社とふか~い関わりのあるお菓子で、あぶり餅の発祥は約1000年以上も前なんです。

【今宮神社】についてはこちら↓をご覧ください。

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そんな歴史ある、あぶり餅を作り続けている元祖あぶり餅店【一文字屋和輔】をご紹介させていただきます。

是非、最後までご覧ください。

目次

元祖あぶり餅【一文字屋和輔】とは?

お店の正式名称は【一文字屋和輔(いちもんじやわすけ)】ですが、「あぶり餅一和(いちわ)」と表記されることもあります。

【一文字屋和輔】は創業1000年を越える老舗中の老舗!です。

元祖あぶり餅【一文字屋和輔】について、歴史やお店のこだわりなどご紹介していきましょう。

元祖あぶり餅【一文字屋和輔】の歴史

元祖あぶり餅【一文字屋和輔】の創業は1000年(長保2年)ということで、なんと1000年以上も前なんです。

京都では、老舗というには創業200年は経っていないと、、といわれていますから、創業1000年の【一文字屋和輔】は超が付くほど、正真正銘の老舗菓子屋です。

日本には、創業1000年を越える企業が7社あって、その1つが【一文字屋和輔】なんですよ。

あぶり餅の起源

【一文字屋和輔】は元々、今宮神社の神事の際に、お餅を白蒸にして今宮神社の疫神へ御御饌(おみけ)として奉納する役割を担う家でした。

神事が終わると、奉納した御御饌を、お下がりとしてもらい疫病を払う有り難いものとして皆で分け食べていたそうです。

その際、時間が経って固くなったお餅を食べやすくするため、お餅を小さく切って、きな粉をまぶして焼き、白味噌を付けて食べるようになったのが、あぶり餅のはじまりと伝えられています。

疫神のお下がりであるあぶり餅を食べた人は疫病を逃れられるといわれるようになり、あぶり餅の評判はどんどん広がっていきました。

あぶり餅に使われている、きな粉と味噌の栄養価はとても高いので、口にした人の免疫力を上げる効果があったのかもしれませんね。

このような背景があり、元々はお餅を神社へ奉納する家だったのが、お餅作りが家業になり【一文字屋和輔】の創業が始まったということです。

創業1000年という長い歴史の中では、応仁の乱で食べ物が不足し飢餓に苦しむ人々にあぶり餅を配ったという話や、茶人の千利休が、茶会の茶菓子に【一文字屋和輔】のあぶり餅を振舞ったという話も記録に残っているそうです。

元祖あぶり餅【一文字屋和輔】のこだわり

元祖あぶり餅【一文字屋和輔】では、あぶり餅を作るのに必要な材料ひとつひとつにもこだわりがあります。

まずは、あぶり餅の肝になるお餅を作るために必要なもち米は、近江の羽生のもち米を使用。

きな粉は、深入りにした京きな粉、お味噌は、本田味噌本店の特上西京味噌を使用しています。

そして、あぶり餅を焼く備長炭は、上土佐備長炭か日向備長炭を使います。

さらに、あぶり餅を刺す竹串にもこだわりがあるんですよ。

以前の竹串は、お正月に今宮神社の神様に奉納する竹の間にしめ縄が張られるのですが、その竹を神様のお下がりとしていただいて竹串にしていたそうです。

現在は、神様からいただく分だけでは竹串が足りなくなってしまうので、お下がりとは別に仕入れた竹も使われています。

あぶり餅に使われている竹串は、先が二俣に割られていますが、これは毎日1本1本手作業で割られているんです。

このようなこだわりが、創業1000年以上経った今でも変わらないあぶり餅の味を守り続けているのでしょう。

保存料ゼロ、もち米100%で作られたあぶり餅は数時間で固くなってしまうので店内飲食が基本、持ち帰り用も販売していますが、地方発送やネット販売は不可で手渡し販売のみです。

これは、品質にこだわってというのはもちろんなんですが、今宮神社へ参拝して、神様のお下がりである、あぶり餅を食べて疫病神を払って帰ってもらうというのが、【一文字屋和輔】の考えるお店のあるべき姿なのでしょう。

元祖あぶり餅【一文字屋和輔】は女性が継承

元祖あぶり餅【一文字屋和輔】は代々当主は男性ですが、店で働き運営するのは女性の仕事とされています。

男性は何してるの?ってなりますよね。

男性はお店ではなく、外に働きに出て収入を得るのが仕事です。

自分のお店があるのに、わざわざ外に働きに出るのにも深い理由があります。

元祖あぶり餅【一文字屋和輔】は自営業の飲食店でありながら、お店の営業で利益を得ることを目的にはしていません。

【一文字屋和輔】が店の利益や他の何よりも優先しているのは、「今宮神社への奉仕」なんです。

今宮神社へ奉仕するために店があり、その店を守るために男性は外に働きに出て安定した収入を得るというのが、【一文字屋和輔】の考え方です。

こうした理由から、元祖あぶり餅【一文字屋和輔】は女性継承の店になっているんですね。

元祖あぶり餅【一文字屋和輔】で見られる価値ある遺構

【一文字屋和輔】は創業1000年以上というだけあって、お店には歴史を感じる遺構が残されています。

お店の1番東、母屋は江戸時代に建てられてた建物です。

今宮神社側の棟は、大正元年に増築された建物だそうです。

他には、室町期に造られた手水や井戸も残されています。

京都にある井戸で、1000年以上前の遺構が残っている井戸は4つあります。

京都山科にある「小野小町の化粧井戸」・京都御所の東側にある梨木神社の「梨井」・大徳寺塔頭の真珠庵にある「紫式部産湯の井戸】の3つの井戸と、【一文字屋和輔】に残されている「一和の井戸」なんですよ。

この4つの井戸は、1000年以上経った現在もなお、枯れることなく水が湧き出ているんです。

衛生面の問題で、この「一和の井戸」の水を商品に使うことはしていないそうですが、井戸を見せて頂くことはできるそうです。

【一文字屋和輔】に行かれた際は、お店に残された、価値ある歴史遺産にも注目してみてくださいね。

元祖あぶり餅【一文字屋和輔】のあぶり餅

今宮神社への参拝の後、元祖あぶり餅【一文字屋和輔】であぶり餅をいただいてきました。

週末の午前中で、この日はあいにくの雨だったこともあり待ち時間なくお座敷に案内してもらえました。

メニューはあぶり餅のみ。

作り置きはなく、注文してから焼いてくれるので、出来たてのあぶり餅をたべることができます。

一人前11本です。

10本ではなく11本という、一見中途半端な数に思いますが、この数にも理由があります。

七五三祝いなど、神社のお祝いに関する数字は奇数です、これは平安時代の※陰陽道(おんみょうどう)で奇数が縁起が良い数とされてきたからだということで、【一文字屋和輔】でも奇数にこだわり一人前11本にしているのです。

※陰陽道(おんみょうどう)とは・・・天文学や暦の知識を使って、日時や方角、人事全般の吉凶を占う技術のこと。

出来たてのあぶり餅は、ほどよく焦げが入り香ばしいお餅、きな粉と白味噌の絶妙な甘さ!

11本あっという間に完食です。

白味噌は四季の気候に合わせて味を変えているそうですよ。

白味噌の品質を保つため、味噌は加熱されているのですが、春と秋の短い期間だけ生の味噌で提供できる時期があるとのこと。

生の白味噌の風味は格段に良いそうなので、次回は生味噌で食べられる時を狙ってお店に行きたいです。

元祖あぶり餅【一文字屋和輔】お店情報

所在地:〒603-8243 京都市北区紫野今宮町69(北側)

地図はこちら↓

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