三寒四温で春に近づき、もう間もなく桜の時期を迎える京都。
京都観光に行きたいけれど、多くの人で混雑している観光地はちょっと、、、という方にお教えしたい
京都の穴場観光地があります。
京都市上京区にある【相国寺】をご存知でしょうか?
【相国寺】は、京都の人気観光地の金閣寺・銀閣寺を山外塔頭にもつ臨済宗相国寺派の大本山です。
年間参拝者数が400万~500万人といわれる金閣寺や銀閣寺の大本山であるにもかかわらず【相国寺】の年間参拝者数は約32万人(2018年調べ)なんです。
今回は、京都観光をゆっくり、ゆったり楽しみたい方必見!京都の穴場観光地【相国寺】の魅力についてお伝えさせていただきます‼
京都の穴場観光地【相国寺】ってどんなとこ?【相国寺】について
京都の穴場観光地である【相国寺】は臨済宗相国寺派の大本山です。
正式名を「萬年山相国承天禅寺(まんねんざんしょうこくじょうてんぜんじ)」といいます。
1392年(明徳3年)に室町幕府3代将軍足利義満が10年がかりで創建しました。
創建後は何度も焼失と復興を繰り返してきました。
【相国寺】の法堂は5回も再建されていて、現在の法堂は、1605年(慶長10年)に豊臣秀頼が1万5千石を寄進して再建したものです。
【相国寺】は、12の山内※塔頭(たっちゅう)と金閣寺・銀閣寺・真如時の3ヶ寺の山外塔頭を持っています。
※塔頭(たっちゅう)とは・・・元は高僧の墓として建てられた建物のことをいいますが、年月とともに塔頭の数が増加したこともあり、明治時代以降はそれらの塔頭が独立した寺となりました。
【相国寺】は京都を代表する5つの禅寺、※京都五山(きょうとござん)の二位の寺です。
※京都五山(きょうとござん)とは・・・幕府が臨済宗の寺院に行った格付けの上位5つの禅寺のことです。現代でいう、ランキングベスト5ってとこですね。
【相国寺】は、※五山文学の発展の中心となった場所としても知られています。
※五山文学とは・・・京都・鎌倉の禅僧たちにより書かれた、漢文詩・日記・語録の総称のことをいいます。
文は義堂周信(ぎどうしゅうしん)・詩は絶海中津(ぜっかいちゅうしん)が五山文学の最高峰といわれ有名です。
水墨画の第一人者として知られている雪舟が水墨画を学んだのも【相国寺】だったんですよ。
【相国寺】春の特別拝観2024について
【相国寺】春の特別拝観2024の開催が決定しました。
【相国寺】春の特別拝観2024では法堂も拝観できるということで、あの有名な龍の天井画も見ることができます。
開催期間:2024年(令和6年)3月23日(土曜日)~6月2日(日曜日)
拝観時間:午前10時~午後4時30分(受付は午後4時まで)
拝観料金:大人:800円 65歳以上・中高生:700円 小学生400円
未就学児:無料 障がい者本人・介助者1人:無料
※開催期間中でも寺の行事等で拝観中止となる日がありますのでご注意ください。
【相国寺】に拝観することができるのは、春の特別拝観時(3月中旬~6月上旬)と秋の特別拝観時(9月下旬~12月上旬)と、その他の特別拝観時のみです。
この期間以外は、境内の中には入れますが、建物の中を拝観することはできませんので、【相国寺】に行かれるなら特別拝観期間にお出かけになることをお勧めします。
【相国寺】春の特別拝観2024の見どころ
【相国寺】春の特別拝観2024にお出かけになる前に、知っておけばより一層楽しめる見どころについて、ご紹介させていただきます。
【相国寺】春の特別拝観2024見どころ①法堂(はっとう)
【相国寺】の法堂の見どころは、【相国寺】にまつわる重要な人物の像と、圧倒される龍の天井画です。
法堂とは、(無畏堂むいどう)と称される場合もあり、僧呂が仏教の教えを説いて、講義するための建物です。
いわゆる講義室ですね。
【相国寺】の法堂は境内の他の建物同様に何度も焼失し再建されてきました。
現在の法堂は5度目に再建されたもので、正面28.72メートル・側面22.80メートルもあり、現存最古で最大級の法堂建築です。
法堂の正面には、3方に高い階段を備えた※須弥壇(しゅみだん)があります。
※須弥壇(しゅみだん)とは・・・本尊を安置する場所のことをいいます。
須弥壇の中央には、本尊の釈迦如来(しゃかにょらい)、脇持は左に※阿難尊者(あなんそんじゃ)、右には※迦葉尊者(かしょうそんじゃ)が安置されています。
※阿難尊者(あなんそんじゃ)とは・・・釈迦の従弟。美男子博学で、釈迦の弟子の中では一番優秀な人物だったと伝えられています。また記憶力にも優れていて、現在のお経は阿難の記憶力の良さのおかげで残っていると言われています。
※迦葉尊者(かしょうそんじゃ)とは・・・釈迦の十大弟子のリーダー的人物
この他には※達磨(だるま)大師、※臨済(りんざい)禅師、※百丈(ひゃくじょう)禅師、※夢窓(むそう)国師、※大権修利菩薩(だいげんしゅりぼさつ)、と【相国寺】の創建者である足利義満の像が安置されています。
※達磨(だるま)大師とは・・・禅宗の開祖、誰もが知るダルマ人形のモデルとなった人物です。ダルマ落としや、ダルマさんが転んだなど昔遊びにもその名がつけられていますよね。
※臨済(りんざい)禅師とは・・・本名は臨済儀玄(りんざいぎげん)といい、臨済宗の宗祖です。
※百丈(ひゃくじょう)禅師とは・・・本名は百丈懐海(ひゃくじょうえかい)といい、「百丈清規(ひゃくじょうしんぎ)」という禅宗の規則を制定した人物です。百丈禅師が残した「一日作さざれば、一日食らわず」という言葉があり、「一日仏のために自分のなすべきことができなかったから、その日一日は食事をいただくに値しない」という意味です。規則を制定するだけあって、責任感の強い人物だったのでしょう。
※夢窓(むそう)国師とは・・・本名は夢窓疎石(むそうそせき)といい、天龍寺の開祖です。一万人もの弟子がいたと伝えられているほどの人格者で、歴代の天皇から国師号の称号を没後含め計7回授与されている高僧です。また、作庭の名人だったことから文化人としても名高い人物でした。
※大権修利菩薩(だいげんしゅりぼさつ)とは・・・中国の航海守護神で、禅宗では伽藍守護神として祀られています。右手を額の近くにかざし、遠く海の向こうを見ている格好のユニークな像です。
【相国寺】の法堂の天井には、安土桃山時代の桃山美術の天才絵師であった、狩野光信(かのうみつのぶ)が描いた「蟠龍図(ばんりゅうず)」があります。
この蟠龍図は八方どこから見ても、見た人と龍の目が合うように描かれていて、八方睨みの龍ともいわれているんですよ。
さらに蟠龍図が描かれている天井にもちょっとした仕掛けがあって、「むくり」という天井の中心を盛り上げて作る技法で、音が反響しやすい設計になっています。
そのため、法堂の中で手を叩くと、その音が反響して聞こえ、それがまるで龍の鳴き声のように聞こえるので、鳴き龍と言われています。法堂に拝観された時は試してみてください。
【相国寺】春の特別拝観2024見どころ②方丈(ほうじょう)
【相国寺】の方丈の見どころは、それぞれの間の襖(ふすま)に描かれた美しい襖絵です。
方丈とは、禅宗寺院における住職の居室のことです。
【相国寺】の方丈は、1804年(文化4年)に再建されたもので、方丈勅使門は2007年(平成19年)に京都府指定有形文化財に指定された貴重なものです。
方丈は一般的に一丈四方(畳4畳半)の広さといわれていますが、【相国寺】の方丈はかなり広く作られていて、部屋数は、北に3室、南に3室、表方丈、裏方丈合わせると、なんと168畳もの広さがあります。
方丈の前庭は白砂を敷き詰めただけの、一見単調な作りの庭なのですが、白砂に太陽の光を反射させて室内を明るくする効果があり、昔ならではの工夫がこなされた庭なのです。
次に、【相国寺】方丈の一番の見どころといえる襖絵について、ご説明させていただきます。
方丈室中の襖絵は、江戸後期の画家、原在中(はらざいちゅう)筆の「中国普陀落山(ふだらくせん)図」です。
この襖絵に描かれている普陀落山は中国で観音の浄土として崇拝されている山です。
竹の間の襖絵は、近江の僧、玉潾(ぎょくりん)筆の「竹図」です。墨竹画を得意としていた玉潾の見事な竹図を見ることができます。
梅の間の襖絵は、相国寺第115世住職の維明周奎(いめいしゅうけい)筆の「老梅図」です。
維明周奎は江戸時代の奇才画家、伊藤若沖(いとうじゃくちゅう)に画を学び、梅を描かせたら天下第一といわれていました。
御所移しの間の襖絵は、「吉野山桜図」この襖絵の作者は不明です。吉野山に咲く桜の美しさは、いつの時代も変わらないのですね。
琴棋書画(きんきしょが)の間の襖絵は、先述の原在中筆「琴棋書画図」です。
聴呼の間の襖絵は、「八仙人図」で、こちらも原在中筆の襖絵です。
春の特別拝観時だけ見ることができる方丈の襖絵は、長い年月が過ぎた今なお作者の息づかいが聞こえてきそうなほど鮮度があり、見るものを惹きこむ魅力あるものばかりです。
【相国寺】春の特別拝観2024見どころ③開山堂(かいさんどう)
【相国寺】の開山堂の見どころは、開山夢窓国師の木像と、他では見られない造りの庭園です。
開山堂は、境内で最も大切な場所で、その名の通り開山、初代住職である夢窓国師の木造が祀られています。
開山堂の正面奥にある夢窓国師の木像は114センチメートルと少し小さな像です。
これは、「夢窓肩」という言葉が生まれるほど、なで肩で小柄な体格だった夢窓国師によく似せて作られているからです。
開山堂西の壇には、※仏光(ぶっこう)国師・※仏国(ぶっこく)国師・※普明(ふみょう)国師・足利義満の像があり、東の壇には、相国寺有縁の宮家の位牌や像が置かれています。
※仏光(ぶっこう)国師とは・・・本名を無学祖元(むがくそげん)といい、夢窓国師の法祖とされる人物です。
※仏国(ぶっこく)国師とは・・・本名を高峰顕日(こうほうけんにち)といい、後嵯峨天皇の皇子、夢窓国師の嗣法の師であった人物です。
※普明(ふみょう)国師とは・・・本名を春屋妙葩(しゅんおくみょう)といい、夢窓国師の甥で臨済宗夢窓派の僧でした。晩年の夢窓国師を支えていた人物です。
【相国寺】開山堂の庭園は、築山と泉水で山水を表現する「山水庭園」と、御影の切石に縁どられた白砂に庭石を置いた、水を使わない「枯山水庭園」の二様の形態から作られていて、この異なる特徴を持つ庭園が見事に一体化しているという、珍しい庭園です。
開山堂に拝観された際は、是非チェックしてみてくださいね。
【相国寺】基本情報
所在地:〒602-0898 京都市上京区今出川烏丸東入
地図はこちら↓
電話:075-231-0301
【相国寺】公式ホームページはこちら
【相国寺】の駐車場・アクセス方法
【相国寺】に駐車場はありません。近隣の有料駐車場をご利用ください。
公共交通機関でのアクセス方法は、京都市営地下鉄烏丸線「今出川駅」下車徒歩すぐ
京都市バス 51系統・59系統・201系統・203系統・急102系統「烏丸今出川」下車徒歩すぐ
京都の穴場観光地【相国寺】まとめ
今回は、京都の穴場観光地【相国寺】についてお伝えしました。
【相国寺】は金閣寺・銀閣寺を山外塔頭にもつ大本山であるにもかかわらず、その知名度はいまいちなのですが、、多くの貴重な歴史遺産が残る寺院です。
京都観光をゆっくり・ゆったりと楽しみたいという方にはぴったりの観光地です。
【相国寺】の春の特別拝観2024開催期間中は普段は拝観できない、法堂、方丈、開山堂を拝観することができます。
春のお出かけに【相国寺】に行かれてみてはいかがでしょうか?
最後までご覧いただきありがとうございました。
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